公開日:2022年8月19日

賃貸マンション経営の知識 - ホームメイト

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賃貸マンション経営の知識

土地活用方法のひとつである賃貸マンション経営は、アパート経営と同じと思われがちですが、建物の構造や規模が異なることから初期投資額や収益性などに大きな違いがあります。
本記事では、賃貸マンション経営のメリット・デメリット、アパート経営との比較や収益モデル(利回り)、経営を開始するまでの流れなどについて詳しくご説明します。

土地活用としての賃貸マンション経営の特徴

土地活用方法のひとつとして、安定した家賃収入が見込め、固定資産税や相続税等の節税効果が得られる「賃貸マンション経営」があります。 賃貸マンション経営は、アパート経営やワンルームマンション経営と同じと思われがちですが、実は様々な違いがあります。

アパート経営との違い

賃貸マンション経営とアパート経営では、建物の構造や規模、階数が異なります。これにより、初期投資額や収益性などに大きな違いが生じます。
賃貸マンションはアパートよりも建物のグレード(構造体)が高くなります。そのため、初期投資額が高くなりますが、収益性も高くなる傾向にあります。さらに、「アパートよりも建物の耐用年数が長い」、「部屋数が多く空室リスクが低い」、「アパートよりも維持費が高い」などの特徴があります。

※明確に決められた定義はありませんが、ここでは「賃貸マンション」は鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造の3階建以上、「アパート」は木造や軽量鉄骨造の2階建のものとして表記します。

アパート経営の詳細はこちら

ワンルームマンション経営との違い

初めて不動産投資を始める人が選択する傾向が多い投資方法として、「ワンルームマンション経営」というものがあります。これは「分譲マンションの一室を購入して貸し出す」ものです。ワンルームマンション経営は、比較的少ない初期投資額で不動産投資を始められる反面 、収益性は低く、空室になると収入がゼロになるというデメリットがあります。

一方、賃貸マンション経営は、賃貸戸数が多い分、収益性が高く、空室リスクを抑えられる事業です。

賃貸マンション経営のメリット

賃貸マンション経営のメリット

賃貸マンション経営のメリットは大きく3つあります。

≪ 賃貸マンション経営 3つのメリット ≫
  • ① 高い収益が期待できる
  • ② 家賃が下がりにくい
  • ③ 税制上の優遇が受けられる

高い収益が期待できる

賃貸マンションは、アパートと比べた場合、 階数が高い分、多くの戸数を確保することができ、スケールメリットにより、収益性が高くなります。

家賃が下がりにくい

一般的に「家賃」は、景気変動の影響を受けにくい性質があります(「賃料の遅行性」と呼ぶ)。
例えば、景気が後退し「不動産価格」が下落しても、「家賃」はすぐに下がるわけではなく、下がったとしても変動幅はわずかです。特に、賃貸マンションは建物が頑丈で経年劣化が生じにくいため、家賃が下がりにくいという特徴があります。

税制上の優遇が受けられる

賃貸マンション経営による土地活用を行うことで、固定資産税・相続税等の優遇措置を受けられます。賃貸マンションの場合、建物は「貸家」、土地は「貸家建付地」として扱われ、不動産の評価が下がることで相続税を低く抑えることができます。
また、土地は「小規模宅地等の特例」により面積200㎡までの部分について、相続税が50%の減額を受けられる可能性があります。土地の固定資産税・都市計画税については、「住宅用地」として扱われるため、固定資産税は最大で6分の1、都市計画税は最大で3分の1に軽減。さらに、賃貸マンション経営の赤字分は、確定申告時に損益通算する(赤字分を他の所得から差し引く)ことができ、所得税や住民税を抑えることができます。

賃貸マンション経営のリスクと対応策

賃貸マンション経営には、たくさんのメリットがありますが、反面、リスクやデメリットが心配という方もいらっしゃるでしょう。
ここでは賃貸マンション経営のリスクとして考えられる点をご紹介。
また、リスクに対する対応策も解説しますので、併せてご覧下さい。

≪ 賃貸マンション経営 5つのリスク ≫
  • ① 初期費用のリスク
  • ② 建物・賃貸管理リスク
  • ③ 空室リスク
  • ④ 家賃滞納のリスク
  • ⑤ 災害リスク

初期費用のリスク

賃貸マンションは、一般的に中高層の鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造が多く、建物のグレードも高いものが求められるため、建築費が高額になる傾向があります。

対応策
銀行の過剰融資問題や昨今の社会情勢の影響により、不動産投資に対する融資は厳しくなってはいますが、長期に安定した収益を見込める事業計画であれば、金融機関も積極的に融資をしてくれる姿勢を見せています。資金融資を上手に活用すれば、採算性の高い賃貸マンション経営は十分に可能です。

建物・賃貸管理リスク

賃貸マンションの建物管理は、建物の規模が大きくなるほど、業務負担が大きくなります。
また、入居者募集・契約手続き・退去の精算・家賃滞納や住民トラブルの対応など、経験やノウハウを必要とする業務が多々あり、賃貸管理にも多大な労力を要しますので、自主管理は難しいと言えます。

対応策
建物管理・賃貸管理は、不動産管理会社に委託することができます。
外注コストはかかりますが、後述する「管理委託方式」や「サブリース方式」などの契約内容に応じて、管理業務の一部またはすべてをプロに任せることができます。

空室リスク

賃貸マンションの空室が増えれば、その分の家賃収入が少なくなりますので、収益は低下します。また、空室が増えたり長期化すると、ローンの返済が滞ってしまうリスクもあります。

対応策
建築前に十分な市場調査を行い、需要に適した間取りと適正な家賃を設定することで空室の発生は防げます。また、賃貸マンションの完成後は、こまめに修繕・リフォームすることで、空室リスクを回避します。なお、不動産管理会社に「サブリース方式」で貸し出す方法もあります。

家賃滞納のリスク

賃貸マンション経営において、家賃滞納者への備えは必須です。また、家賃滞納の督促は手間がかかりますし、根気も必要となります。

対応策
家賃滞納への対応策として、「家賃を口座から自動引き落としにする」 、「入居者様の審査に年収基準を設ける」 、「家賃保証会社を利用する」などがあります。また、不動産管理会社に家賃督促を含む管理業務を委託することも検討すべきでしょう。

災害リスク

賃貸マンションは堅牢な構造で建築される建物ですが、災害の多い日本では地震・台風・火災・水害などの災害リスクは無視できません。

対応策
「契約前にハザードマップを確認する」、「火災保険・地震保険などの保険に加入する」、「入居者様に家財保険への加入を推奨する」などの対策を講じることで、災害リスクに備えることができます。

賃貸マンション経営以外の土地活用法について

賃貸マンション経営とアパート経営の違い

ここでは賃貸マンション経営とアパート経営の違いを6つの要素ごとに解説します。

※賃貸マンション経営を大規模、かつ鉄筋コンクリート造とし、アパート経営と4戸程度の小規模、かつ木造と仮定します。

≪ 賃貸マンション経営とアパート経営の違い ≫
要素 賃貸マンション経営 アパート経営
①収益性 高い やや低い
②耐用年数 長い 短い
③初期投資額 大きい 小さい
④維持費 高い 低い
⑤管理の手間 多い 少ない
⑥空室リスク 低い 高い

収益性

賃貸マンションは 、「容積率」(建物延べ床面積の敷地面積に対する割合)が高く、賃貸需要の旺盛な駅周辺に建設される傾向があります。
建物の立地が良く、グレードも高くなることから家賃水準が高く、かつ空室リスクが低いため、高い収益性を期待できます。
一方、アパートは木造2階建が多く、賃貸マンションに比べると賃料水準は低く、収益性もやや劣ります。

耐用年数

賃貸マンションとアパートでは構造が異なることから、法定耐用年数に大きな違いがあります。 賃貸マンションは鉄筋コンクリート造なら47年、アパートは木造なら22年です。耐用年数が長いと建物の会計的な価値が下がりにくくなります。また、建物の償却率も低くなるため、長い期間で減価償却費を経費計上できます。耐用年数が短い場合は、建物の会計的な価値が下がるスピードが速く、償却率も高いため、減価償却費を経費計上できる期間は短い反面、1年あたりの減価償却費は、多く計上できます。

初期投資額

初期投資額の中で大きな割合を占める建築費は、賃貸マンションの方がアパートよりも高額になります。
賃貸マンションは、中高層かつ鉄筋コンクリート造などのグレードの高い構造体であるため、建築費が高額になりやすく、エレベーターを投資するための費用もかかります。
一方、アパートは木造2階建が多いため、建築費は抑えられる傾向にあります。

維持費

賃貸マンションは高層かつ規模が大きく、エレベーターの保守点検費用や管理会社へ支払う管理費のほか、法令点検やメンテナンス等、維持費が高くなる傾向にあります。アパートは低層で規模が小さいため、維持費は賃貸マンションよりも低くなります。

管理の手間

賃貸マンションはアパートに比べて賃貸戸数が多く、建物の規模も大きいため、入居者募集から契約更新、クレーム対応といった入居者様の管理 、また、建物や部屋の修繕といった不動産の管理に時間や手間がかかります。

空室リスク

部屋数の多い賃貸マンションは、アパートよりも空室リスクは低くなります。例えば、全4部屋のアパートで1室の空室が出るだけで「空室率」は1室÷4室×100=25%になります。一方、全50部屋の賃貸マンションで空室率が25%となるのは、空室が13室も出た場合になります。しかし、ここまで多量に空室が出ることは稀と言えるでしょう。

土地活用として賃貸マンション経営を
始めるまでの流れ

土地活用として賃貸マンション経営を始めるまでの流れ

土地活用として賃貸マンション経営を検討し始めてから、実際に経営をスタートさせるまでの流れは、以下のようになります。

≪ 賃貸マンション経営の始め方 ≫
  • ① 相談
  • ② 市場調査
  • ③ プラン設計
  • ④ 本設計と契約
  • ⑤ 建築・施工(行政への申請)
  • ⑥ 完成引渡し(賃貸経営スタート)

相談

まず、土地オーナー様の「土地活用の目的 」を明確にすることから始めます。そして、ご自身の「土地活用の目的 」に合致した土地活用の方法が「賃貸マンション経営」であるのかについて、土地活用の専門会社の意見を聞いてみましょう。

市場調査

土地活用を「賃貸マンション経営」で進める方向に決まったら、「市場調査」を行います。
市場調査では、土地の立地条件、周辺環境、人口動態、賃貸マンションの需要・ニーズなどを調査・分析し、建物の規模(階数、戸数)や間取り、賃料などを決め、賃貸マンション事業のアウトライン概要を決定します。なお、市場調査の結果、賃貸マンション経営以外の土地活用方法の方が適していると判断される場合もあります。

プラン設計

市場調査の結果をもとに、賃貸マンションの事業計画・資金計画・建築計画などの「プラン設計」を進めます。
これらのプラン設計には専門的な知識を有するため、土地活用専門会社が土地オーナー様の要望を聞きながら作成していくケースが一般的です。

本設計と契約

土地オーナー様がプランの内容に納得できたら、土地活用専門会社は賃貸マンションの「本設計」(役所提出用の詳細な図面の作成に着手します。その後、土地オーナー様と土地活用専門会社との間で「建築工事請負契約」を締結します。

建築・施工(行政への申請)

賃貸マンション建設にあたっては、行政への「建築確認申請」が必要ですが、これも土地活用専門会社に代行してもらうことができます。役所から「建築確認済証」が交付されたら「地鎮祭 」を行い、 賃貸マンションの「建築工事」が始まります。また、入居者様の募集活動を開始します。

完成引渡し(賃貸経営スタート)

建築工事完了後、行政の「完了検査」を受け「検査済証」が交付されたら、賃貸マンションの引渡しを受けます。土地オーナー様は、晴れて賃貸マンションのオーナー様になります。入居者様の入居開始後、「賃貸マンション経営」がスタートします。

賃貸マンション経営の収支

賃貸マンション経営の収支

賃貸マンション経営の収支は、「初期費用」、「ランニングコスト」、「収入」の3つで成り立っています。そして、収入から支出を差し引いた残りが収支(=利益)となります。
それぞれの項目について、以下に詳しく解説します。

≪ 賃貸マンション経営の収支 ≫
  • ① 賃貸マンション経営の初期費用
  • ② 賃貸マンション経営のランニングコスト
  • ③ 賃貸マンション経営で得られる収入

賃貸マンション経営の初期費用

賃貸マンション経営の「初期費用 」は、賃貸マンションの建築費と諸経費となります。基本的には以下のような種類があります。

≪ 賃貸マンション経営の初期費用 ≫
賃貸マンションの建築費 建物の建築費
諸経費
  • ・外構などの附帯工事費
  • ・ローン手数料(保証料・事務手数料)
  • ・登記費用(建物保存登記・ローン抵当権設定登記の登録免許税、司法書士報酬)
  • ・税金(新築建物の不動産取得税、建築工事請負契約に要する印紙税、建築費の消費税など)
  • ・保険料(長期一括払いの場合)

賃貸マンション経営のランニングコスト

「ランニングコスト」とは、賃貸マンション完成後に継続的に必要となる費用です。具体的には以下の種類があります。

  • 管理費
  • 入居者募集の費用(入居者募集広告料など)
  • 修繕費
  • 税金(固定資産税、都市計画税、収益が出る場合は個人であれば所得税・法人であれば法人税)
  • 保険料(火災保険・地震保険など)
  • 建築費ローン返済支払額
  • 建物清掃費
  • 設備の保守管理費用

賃貸マンション経営で得られる収入

賃貸マンション経営で得られる収入は、「家賃収入」のほか、 駐車場料金、共益費などが挙げられます。「礼金」や「更新料」については地域の慣習により得られる場合と、得られない場合があります。なお、「敷金」は、入居者様から一時的に預かっている金銭であり、原則として退去時に返還するため収入には含まれません。

  • 家賃収入
  • 共益費
  • 駐車場 料金
  • 礼金・更新料 (地域の慣習により異なる

賃貸マンション経営で失敗しないためのポイント

賃貸マンション経営のリスクを軽減するためには、事前の備えが大切であると解説しました。では、具体的にどのような対策を講じるべきかをご紹介します。

≪ 賃貸マンション経営で失敗しないための4つのポイント ≫
  • ① 経営・管理方法の選択
  • ② 賃貸マンションを建てる立地
  • ③ 入居需要に合わせた間取り
  • ④ 建物の性能

経営・管理方法の選択

「自主管理」は、入居者募集から、契約手続き、退去の精算、家賃滞納や住民とのトラブル対応まで、すべて自分で対応することになります。 管理会社に支払う管理料が発生しない代わりに、想定以上に時間と労力を要します。

「管理委託」は、管理を外部へ委託する方法で、契約で決められた範囲内の管理業務を、不動産管理会社に任せることができます。

さらに、賃貸マンションを丸ごと管理会社に貸して、毎月決められた賃料を得る「サブリース方式」もあります。

≪ 経営・管理方法の選択 ≫
自主管理 経営から建物管理まで自分で行う
管理委託 経営は自分で行い建物管理は管理会社に委託する
サブリース方式 管理会社に一括で貸して賃料を得る

賃貸マンションを建てる立地

賃貸マンションは建築費が高額になるため、高い家賃が取れない場所では採算が合わないことがあります。賃貸マンション経営に向いている土地は、都市部や駅前などの利便性の高い立地で、一定の家賃水準を満たす土地となります。また、都市部や駅周辺は、「容積率」(建物延べ面積の敷地面積に対する割合)が高いケースが多く、中高層賃貸マンションを建てることが可能です。

入居需要に合わせた間取り

「ファミリー層の需要が多い地域にシングル向けの賃貸物件を建築してしまった」など、間取りが地域のニーズに合っていないと、空室リスクが増大してしまいます。事前に十分な市場調査を行い、単身者が多い地域なのか、ファミリー向けの住宅需要が多い地域なのかを、しっかり調査した上で間取りタイプを決定します。その上で、相場に合致した適正な家賃を設定します。

建物の性能

建築費を抑えようと建物のグレードを落としてしまうと、入居者様が決まりにくく、維持費も嵩むことになります。賃貸マンション経営は、30年以上続く長い事業です。建築費の安さだけに目を向けてしまうと失敗します。建物のグレードを高めれば入居付けに有利となり、維持費も抑えられますので、長期の視点で建物のグレードを決めるようにしましょう。

また、耐震性や遮音性は、建物の構造によって大きく異なります。賃貸マンションで多い鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造の建物は、一般的な木造アパートよりも耐震性・耐火性・遮音性に優れています。

(1)耐震技術

耐震性能の高い構造を選び、かつ建物に耐震技術を盛り込むことで、耐用年数が長くなり修繕費も抑えられます。
また、地震災害にも安心であるため、入居者募集時のアピールポイントになります。

(2)遮音性

遮音性に優れた構造を選択して騒音対策をすれば、入居者募集時にアピールでき、騒音による近隣トラブルを回避できます。

(3)セキュリティー対策

セキュリティー対策として「オートロック付」、「TVインターホン付」、「防犯カメラ」などの設備を充実させると、入居者募集時に安全性をアピールでき、空室リスクを軽減できます。設備の維持費はかかるものの共益費で補填することができますし、設備が充実している方が家賃を高く設定できます。

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土地活用としての賃貸マンション経営は、安定的な家賃収入と節税効果が大きな魅力です。
また、建築費などの初期費用は高額になりますが、高い収益性が期待できます。
しかし、他の土地活用と同様、賃貸マンション経営にも空室などのリスクはつきものです。
そのため、 賃貸マンションの管理・経営は、専門の会社に委託する方法が安心と言えます。
賃貸マンション経営をお考えの方は、アパート・賃貸マンションに豊富な実績のある、東建コーポレーション仲介部に、ぜひご相談下さい。

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