
土地活用を行うにあたっては、金融機関から資金融資を受けることが多いですが、相談をする際に注意しておく点があります。
長らく低金利の環境が続いている日本において、相応の利息収入を期待できる土地活用の融資に対して金融機関は積極的です。
金融機関にとって土地活用は優良な貸出先であり、土地オーナー様に対しては協力的に対応してくれますが、一方で金融機関側の都合というものもあり、借りる側が知っておいた方が良い情報、心得ておいた方が良い注意点というものはあります。
この記事では、土地活用で金融機関に相談できることや、金融機関に融資の相談をする際に注意すべき点について解説します。
土地活用をお考えで、金融機関から事業資金の融資を受けたことがない人、金融機関との対応に慣れていない人は、参考にしてください。
目次
土地活用で金融機関に相談できること
最初に土地活用で金融機関に相談できることについて解説します。
金利や融資可能額
金融機関には、アパートローンの金利や融資可能額を相談することができます。
アパートローンは住宅ローンとは異なり、金利や融資可能額が横並びとは限らない点が特徴です。
アパートローンに対する融資姿勢も金融機関によって差異があり、アパートローンに積極的な金融機関は金利も低く融資可能額も大きい傾向があります。
なお、金利や審査に関しては、銀行の種類によって一定の傾向が見られます。一般的に、金利は都市銀行や地方銀行が低く、信用金庫やノンバンクは高いです。
審査は、都市銀行や地方銀行が厳しめであり、信用金庫やノンバンクは緩やかと言えます。
そのため、都市銀行や地方銀行で融資を断られても、信用金庫なら融資を受けられるケースはあります。
テナントの与信
金融機関は企業に対する融資も行っていることから、企業の信用力調査に長けているため、テナント(借主)の与信に関して、ある程度の情報を得ることが可能です。
例えば、事業系の土地活用で一棟貸しを行う場合があるとします。
一棟貸しは1社のテナントだけに貸す形式であるため、退去されたときの悪影響が大きいです。
そのため、一棟貸しの場合には、テナントの経営能力や実績、財務状況等の与信が極めて重要となります。
融資に前向きな金融機関であれば、テナントの与信もある程度教えてくれます。
金融機関が問題ないといっても絶対安心とも言い切れませんが、何も調査せずにテナントと契約するよりは金融機関に聞いてから判断した方が適切です。

士業や企業の紹介
土地活用では司法書士や税理士、不動産鑑定士、弁護士、土地家屋調査士等の普段馴染みのない士業に仕事を依頼するケースもあります。金融機関はネットワークが豊富なため、これらの士業の人たちを紹介してもらうことが可能です。
また、土地活用専門会社や不動産会社、管理会社等の土地活用に関連する企業も紹介できる金融機関は多いと言えます。
必要に迫られたら、金融機関に士業や関連企業の紹介を依頼してみても良いでしょう。
金融機関に融資の相談をする際の3つの注意点
この章では、金融機関に対して融資の相談をする際の注意点について、3つ解説します。
【1】過剰な借入となる可能性がある
アパートローンは住宅ローンよりも金利が高いため、金融機関にとっては利益率の高い商品です。
また、土地活用は手堅い家賃収入を得られることから、一般の企業に融資するよりも安全な商品と言えます。
アパートローンは金融機関にとって収益性が相応に高く、かつ、安全性も高いことから融資に積極的な金融機関は多いです。
そのせいか、金融機関の方が融資に前のめりとなることも多く、結果的に過剰な融資を受けてしまう可能性もあります。
アパートローンでは、金融機関は頭金として融資額の1割を求めてくることが多いです。
逆に言うと、土地活用に必要な資金の9割は借入金で組めてしまうことになります。
土地活用は借入金が多くなると投資リスクが高くなってしまいます。借入可能額と適切な借入額は異なることが一般的となっており、適切な借入額はあくまでも地主側で判断していくことが適切です。

【2】建築会社が限定されてしまう恐れがある
金融機関には様々な建築会社が営業で入り込んでおり、金融機関を経由して建築会社を選んでしまうと建築会社が限定されてしまう恐れがあります。
建築会社をフラットに選びたい場合には、金融機関を経由せずに自ら建築会社を選んだ方が自由度は高いです。
逆に建築会社も様々な金融機関にネットワークを有しているため、先に建築会社を決めて有利な条件の金融機関を紹介してもらう形も良いと言えます。
【3】管理方式を自由に選択できない場合がある
金融機関によっては管理方式を自由に選択できない場合もあります。管理方式が指定される典型的な例としては、賃貸併用住宅です。
賃貸併用住宅とは、自宅とアパートがひとつの建物で併用したタイプの賃貸物件で、賃貸併用住宅では、自宅部分を50%以上とすると住宅ローンによる融資を可能とする金融機関が多いです。
住宅ローンはアパートローンよりも金利が安いことから有利なローンと言えますが、住宅ローンで貸す条件としてアパート部分をサブリースとしなければならないという条件が課されることがよくあります。サブリースとは、管理会社(サブリース会社)が転貸する管理方式であり、一般的な管理委託方式よりも収益性は低くなります。
金融機関から融資を受ける際は、管理方式が制限されることがないかを確認することが望ましいと言えます。

金融機関に相談するときに必要なスタンス
アパートローンの金利や融資額は、金融機関によって異なります。
そのため、最終的には複数の金融機関を比較して、最も条件の良い金融機関を選ぶことが望ましいです。
金融機関への相談は、ひとつの銀行に依存し過ぎてしまうと、最後に他の銀行を選びにくくなります。
そのため、最初からひとつの銀行に限定し過ぎず、相談に関しても複数の金融機関に打診する形で進めていくことをおすすめします。

まとめ
以上、土地活用で金融機関に融資の相談をする際の注意点について解説してきました。
金融機関には「金利や融資可能額」、「テナントの与信」、「士業や関連企業の紹介」等を相談することができ、相談する際の注意点としては「過剰な借入となる可能性がある」や「管理方式を自由に選択できない場合がある」等がありました。
金融機関に相談する際には、有利な条件を引き出すためにも、最初からひとつの銀行に限定せず、複数の金融機関に並列に声をかけることが望ましいと言えます。
土地活用をお考えで、金融機関から事業資金の融資を受けたことがない人、金融機関との対応に慣れていない人は、参考にしてください。


