
「戸建て賃貸経営」とは、1戸建て住宅を丸ごと貸す形式の賃貸経営のことです。
比較的狭い土地を所有する土地オーナー様が土地活用を考えるときの選択肢のひとつとして検討されることも多いと思います。
戸建て賃貸経営を行うのであれば、そのメリットとデメリットを十分に踏まえた上で選択することが重要と言えます。
戸建て賃貸経営には、一体どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
この記事では「戸建て賃貸経営の基本とメリット・デメリット」について解説します。
目次
戸建て賃貸経営のメリット

はじめに戸建て賃貸経営のメリットについて解説します。
①小さな土地でも活用できる
戸建て賃貸経営は、小さな土地でも実現できる点がメリットです。
土地活用は、土地が小さいと選択肢が限られますが、戸建て賃貸経営は小さな土地でも活かすことができる貴重な選択肢です。
小さくて形状の悪い土地にも適した土地活用と言えます。
②競合物件が少ない
1戸単位の戸建て賃貸経営は、空室が出ると家賃収入がゼロ円になるため、返済金や固定費を持出しで負担しなければならず、複数戸のアパート経営のようにリスク分散ができません。
そのため、土地オーナー様からは建築することを敬遠されるため、市場への供給自体が少ない状況にあります。
一方、入居需要については、小さなお子さんをお持ちの家族世帯からは、アパートのように上下階を気にすることがありませんので根強い人気があります。
このように戸建て賃貸経営は、希少性が高い割に、入居ニーズも一定数が存在するため、市場のニーズと合致すれば安定経営をすることができます。
③節税効果が期待できる
戸建て賃貸経営は、アパート経営と同様に、固定資産税や相続税といった節税対策には大きな効果が期待できます。
また、相続時に例えば二人の相続人に平等に引き継ぎたいとお考えの場合には、戸建賃貸を2棟、もしくは4棟と偶数棟とすれば均等に分割することが可能となります。
集合住宅の場合はこのようなことはやりにくいです。
④入居期間が長い
戸建て賃貸経営は、ターゲット層が家族世帯であることから、借主の入居期間が長い点がメリット。
家族世帯が単身世帯よりも入居期間が長くなるのは、家族世帯には子どもの転校を避けたいという理由があるからです。
賃貸経営においては、入居者様の退去が発生すると新たな借主を決めるためにAD(広告宣伝費)等の入居者募集費用が発生すると共に、クロスの張り替え等の退去修繕費用も生じます。
入居者様の入れ替えには相応のコストがかかるため、賃貸経営で収益性を上げるには借主の入れ替えの頻度を下げる必要があり、借主には極力長く入居してもらった方が良いことになります。
戸建て賃貸経営では家族世帯が入居し、入居期間が長くなる傾向があることから、入居者様の入れ替えに伴う費用を抑えやすくなります。
戸建て賃貸経営のデメリット

戸建て賃貸経営のデメリットについて解説します。
①収益性が低い
戸建て賃貸経営は、アパート経営に比べると収益性が低い点がデメリットです。
戸建て賃貸経営は、戸建て住宅を1棟貸しすることからアパート経営よりも1戸あたりの賃貸面積が大きくなり、家賃も高額にならざるを得ません。
しかしながら、家賃が高くなってしまうと貸しにくくなることから、専有面積の広い戸建て賃貸は㎡あたりの賃料単価を下げることで家賃の総額を抑えることになります。
そのため、賃料単価はアパート経営よりも戸建て賃貸経営の方が低くなり、投資効率も下がるため、利回りも低くなる傾向にあります。
②空室になると賃料収入がゼロ円になる
戸建て賃貸経営は、1棟貸しであることから空室になると賃料収入がゼロ円になる点がデメリットです。
借入金を組んで戸建て賃貸住宅を建てている場合は、空室発生期間は持出しで借入金を返済しなければいけないことになり、併せて固定資産税や建物の火災保険料といった固定費も、持出しで負担しなければなりません。
一方で、複数戸からなるアパート経営では、空室が発生したとしても、他の部屋の賃料が発生していることから、収入がゼロ円になることはありません。
借入金の返済や固定の支払いも、他の部屋の家賃収入から捻出することができるため、通常は持出しで負担が発生する状況にはなりにくいのです。
このように、戸建て賃貸経営とアパート経営では、いずれも空室リスクは存在しますが、空室が発生したときの悪影響は戸建て賃貸経営の方が大きいと言わざるを得ません。
③賃貸需要が弱い
戸建て賃貸経営はターゲットが家族世帯に絞られることから、賃貸需要が弱いという点がデメリットです。
家族世帯の賃貸需要が弱い理由は、ファミリータイプの物件は面積が広いため、家賃が高くなりがち。そのため、「借りるよりも買った方が安い」という心理が働くことから、家族世帯は賃貸需要よりも購入需要の方が強くなる傾向にあります。
一方で、単身用アパートはターゲットが単身世帯となり、単身世帯は購入需要よりも賃貸需要の方が強くなります。
将来結婚して家族が増える可能性がある人が、わざわざ住宅ローンを組んでワンルームマンションを購入することはほとんどありません。
家賃も賃貸面積が狭いため、ファミリータイプと比べると払っていける範囲と言えます。
戸建て賃貸経営は根本的に賃貸需要が弱い家族世帯をターゲットとしていることから、単身用アパートと比べると入居者様を決めにくい傾向にあるのです。
このように、ファミリー世帯をターゲットとした1棟貸しの戸建て賃貸には、収益性が低い、空室になると賃料収入がゼロ円になる、賃貸需要が弱い等のデメリットがあります。
貸主にとって、戸建て賃貸経営はアパート経営と比べるとデメリットが多いことから、市場のニーズと合致した条件の土地オーナー様にしか選択されにくい存在となっているのです。
戸建て賃貸経営で成功するためのポイント

戸建て賃貸経営のデメリットを抑えるには、家賃を低く設定できるように1戸あたりの建物の面積を小さくし、貸しやすくすることがポイント。
大きな戸建て賃貸住宅を建ててしまうと、賃料単価が下がり、戸建て賃貸の収益性の低さが露呈してしまいます。
また、大きな戸建て賃貸住宅は家賃が必然的に高くなってしまうことから、賃貸需要の弱さの影響を強く受け、貸しにくくなります。
そのため、戸建て賃貸住宅を建てるのであれば、例えば延べ床面積を80㎡以内とし、小さく設計することが望ましいでしょう。
賃貸面積を小さくし、賃料単価を上げつつも家賃の総額を抑えるようにすることが、戸建て賃貸経営で成功するためのコツとなります。
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以上、戸建て賃貸経営のメリットとデメリットについて解説してきました。戸建て賃貸経営のメリットには、「小さな土地でも活用できる」や「競合物件が少ない」、「節税効果が期待できる」、「入居期間が長い」などがあります。デメリットは「収益性が低い」や「空室になると賃料収入がゼロ円になる」、「賃貸需要が弱い」等です。
戸建て賃貸経営で成功するには、広過ぎない建物を建て、家賃を高くし過ぎないことがポイントとなります。
戸建て賃貸経営を始める上で、参考にして頂けると幸いです。
東建コーポレーションでは、半世紀にわたり居住系賃貸事業、商業系貸店舗事業などを生業とし、様々な経験値を蓄積してきました。
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