
現在の賃貸住宅経営は、他の賃貸住宅との差別化が重要になっています。少子高齢化や人口減少を背景に、賃貸住宅市場では借り手優位の色合いが強まりつつあり、入居者様が住みたい賃貸住宅を「選べる」時代です。入居希望者様に選ばれる賃貸住宅とするには、入居希望者様のニーズを捉え、他の賃貸住宅と差別化していくことが求められます。
賃貸住宅を差別化するひとつの選択肢としては、「付加価値(専用機能付き)物件」が挙げられます。
付加価値(専用機能付き)物件とは、一体どのようなものなのでしょうか。詳しく解説していきましょう。
目次
付加価値(専用機能付き)物件とは

付加価値(専用機能付き)物件とは、特定のターゲットに対し、強烈にアピールする商品性を追求した賃貸住宅のことを指します。
特定の趣味嗜好、専門性やデザインセンスなどに基づいて建てられたアパートや賃貸マンションのことです。
成功している付加価値(専用機能付き)物件の特徴としては、ターゲットを明確にし、的を絞ったコンセプトを設計に取り入れている点が挙げられます。
また、その上で快適な居住性能も実現している物件が多いと言えます。
表面的な楽しさやデザインだけではなく、セキュリティーやプライバシーの確保にも配慮し、顧客満足度の高い賃貸住宅とすることが、付加価値(専用機能付き)物件で失敗しないコツになります。
付加価値(専用機能付き)物件の事例
付加価値物件には、土地の立地条件や周辺の賃貸需要などに応じて、様々な手法があります。ここでは、付加価値物件の事例を紹介します。
①デザイナーズ賃貸マンション
デザイナーズ賃貸マンションとは、「オシャレ」や「スマート」、「サプライズ」等のデザインコンセプトに基づいて建てられたハイセンスな賃貸マンションのことです。
都会的なイメージを演出するコンクリート打ち放しや、優雅なヨーロピアン風、斬新なニューヨークスタイル、温かみのあるカントリー風等の物件があります。
しかしながら、デザイナーズ賃貸マンションはかなり以前から存在する付加価値物件であるため、近年は「デザイナーズ賃貸マンション」と謳っても、付加価値は上がりにくくなってきています。
そのため、これからデザイナーズ賃貸マンションを選択する場合には、新築時だけでなく、年月を経ても存在感を保ち、人々の憧れであり続けるデザインの建物とすることが望ましいと言えます。

②ペット共生型アパート・賃貸マンション
ペット共生型アパート・賃貸マンションとは、ペットと一緒に住むことを基準として設備が整えられた共同住宅のことです。
ペット共生型マンションは、以下のような設備を備えた物件になります。
- ・共用部に犬の足洗い場を設置する
- ・共用部に汚物流しを設置する
- ・室内にペット用トイレを置くスペースを設置する
- ・玄関前にリードフックを付ける
- ・室内の床はペットが滑りにくい仕様にする
- ・室内のクロスはキズやニオイが付きにくいものとする
- ・コンセントの位置を高くする
- ・界壁を高性能遮音壁にする
- ・玄関前にペットゲートを設置する
- ・室内ドアにペットくぐり戸を付ける
- ・バルコニーに多目的利用が可能なシンクを付ける
- ・音漏れを防ぐペット対応サッシを付ける
- ・エアコンを空気清浄機能付にする

③ギャラリー併設マンション
ギャラリー併設マンションとは、エントランスロビーを格調高いギャラリーのように演出したマンションのことです。
センスの良い美術品を飾り、一流ホテルのようなエントランスにして差別化を図ります。

④子育て特化型アパート・賃貸マンション
子育て特化型アパート・賃貸マンションとは、子育て世代をターゲットにした共同住宅のことです。小さな子供でも安心して子育てができるように、床の仕上げや階段の形状、転落防止対策等を施して安全性の高い住まいを実現します。

⑤ミュージシャン向け賃貸マンション
ミュージシャン向け賃貸マンションとは、室内での楽器演奏を可能とした賃貸マンションのことです。
音大生や音楽家、楽器愛好者がターゲットとなります。
防音対策を施し、入居者様がいつでも安心して楽器演奏ができる仕様とします。
ミュージシャン向け賃貸マンションは防音対策が高いことから、小さな子供の泣き声を気にするファミリー層が入居を希望される場合もあります。
⑥防災型賃貸マンション
自然災害に対して高い防災性能を持つことも、賃貸住宅の付加価値となります。
防災型の賃貸マンションでは、高い耐火性や、巨大地震にも耐える耐震性といった建物の堅牢さだけではなく、避難スペースが確保されていることや、津波に対する対波性などの差別化ポイントがあります。

付加価値(専用機能付き)物件の注意点
付加価値(専用機能付き)物件を建てる際には、気を付けるべき注意点もあります。
せっかく費用をかけて導入した付加価値仕様が無駄になってしまわないよう、十分に注意するようにしましょう。
①供給過剰に注意する
デザイナーズ賃貸マンションとは、「オシャレ」や「スマート」、「サプライズ」等のデザインコンセプトに基づいて建てられたハイセンスな賃貸マンションのことです。
付加価値物件は、特定のターゲットに訴求する賃貸住宅であり、ニッチなニーズを捉えることで、高い賃料を設定することができます。
そのため、需要に対して供給がやや下回る程度であれば効果が高まりますが、供給過剰になると逆にリスクを負うことになります。
付加価値(専用機能付き)物件では、供給過剰を避けることは非常に重要です。
例えば、近隣においてギャラリー併設マンションで成功している物件があったとします。
近隣で成功しているからといって、真似てすぐ近くにギャラリー併設マンションを建てたとしても、全く入居が決まらないことがあります。
そもそも、近隣で成功している物件を安易に真似るという発想は差別化ではありません。
逆に、競争に自ら参入していることになるため、失敗リスクを上げる行為となります。
近隣で成功している付加価値(専用機能付き)物件があれば、それを真似するのではなく、その物件とは異なる付加価値を与える物件を供給することが適切です。
②基本的な居住の快適性は守る
付加価値(専用機能付き)物件は、コンセプト部分だけを注力してもなかなか成功しないのが実情です。
付加価値とは「価値を付加する」という意味であるため、標準的な物件に新たな価値を付加することでグレードアップを図ることが基本となります。
例えば、ミュージシャン向け賃貸マンションだからといってオートロックを付けなかったり浴室乾燥機を付けなかったりする判断は適切とは言えません。
オートロックやモニター付きインターホン、室内洗濯機置場、宅配ボックス等の一般的に求められる設備については揃えておくことが必要です。
一般的な賃貸住宅の仕様を満たし、基本的な居住の快適性は確保した上で、楽器演奏やペット共生を可能とする仕様にするという、プラスアルファな考え方が、付加価値(専用機能付き)物件で失敗しないためのコツとなります。
③土地活用のコンサルティング機能を持った会社を
パートナーに加える
付加価値(専用機能付き)物件を建てるには、計画段階から土地活用のコンサルティング機能を持った会社をパートナーに加えることが望ましいです。
土地活用のコンサルティング機能を持つ会社とは、土地活用を行う際に重要な判断基準となる建築法規や税制、賃貸需要に関する分析力、ノウハウを持った会社のことです。民法などの法務関連についても組織的にカバーできる会社であれば、既存入居者様の退去を伴う建替え計画などもスムーズに進めることができます。
ターゲットと想定する入居者様の趣味嗜好を自ら熟知せず、理想だけで付加価値(専用機能付き)物件を建てても、事業として成功するかどうかは不透明です。
また、基本的な居住の快適性を確保した上でプラスアルファの付加価値を付ける必要があるため、事業計画の基本がしっかりしていることも重要になります。
導入する付加価値の方向性を間違えないためにも、最初から土地活用のコンサルティング機能を持った会社の助言を得ながら設計していくことが適切です。
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以上、付加価値(専用機能付き)物件による賃貸住宅経営について解説してきました。
付加価値(専用機能付き)物件とは、特定の趣味嗜好、専門性やデザインセンスなどに基づいて建てられたアパートや賃貸マンションのことです。付加価値(専用機能付き)物件には、「デザイナーズ賃貸マンション」や「ペット共生型アパート・賃貸マンション」などの多様な種類があり、入居競争力の強化や設定家賃の増額などの目的や、ターゲットとなる入居者様の属性に応じて、選択肢も様々です。
付加価値(専用機能付き)物件の注意点としては、「供給過剰に注意する」や「基本的な居住の快適性は守る」などが挙げられます。
東建コーポレーションでは、賃貸住宅に付加価値を与える豊富な専用機能付き物件を備え、建築・入居仲介・物件管理実績とノウハウに加え、税務の専門組織と弁護士法人との連携により、ご所有地の特性にマッチした付加価値(専用機能付き)物件のコンサルティングを行っています。
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