
戸建て賃貸経営とは、ご所有地に一戸建て住宅を建築し、第三者に貸し出すことで家賃収入を得る土地活用方法です。
賃貸マンション経営やアパート経営と同様に、基本的にはアパートローンを利用して、建築資金を調達します。
しかし、アパートローンは一般的に住宅ローンと比べて融資条件が厳しいことから、「アパートローンを借りられるのだろうか?」と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、戸建て賃貸経営でローンを組む方法を解説します。
申し込みの具体的な流れや、審査にクリアするためのコツをご紹介しますので、資金調達に不安を感じている方はぜひご参考になさってください。
目次
1.戸建て賃貸経営で利用できる「アパートローン」とは?
「アパートローン」とは、賃貸物件を建てたり購入したりする際に利用できるローンのことです。
「アパートローン」という名称のため、アパートに限定したローンのように思うかもしれませんが、戸建て賃貸住宅はもちろん、賃貸マンション、貸店舗など、収益物件であればほとんどが借り入れの対象となります。
ここでは、戸建て賃貸経営で活用できるアパートローンについて詳しく解説します。
1-1.アパートローンの仕組み
アパートローンの仕組みは基本的に他のローンと同じで、金融機関から資金を一括で借りて、毎月の返済日に一定額を支払って返済していく流れです。
この際、借りたお金(元金)には利息(お金を借りた対価)が付きます。
なお、一般的なローンでは、毎月の給与から元金を返済しますが、アパートローンでは、賃貸経営で得られる家賃収入を返済の原資に充てます。
1-2.アパートローンの金利
アパートローンの金利は、マイカーローンやカードローン等と比較すると低く、住宅ローンと比較するとやや高いという水準が一般的です。金利の高さは、金融機関や借り手の資産状況、戸建て賃貸の収益性によって異なりますが、新築の場合は年1%前後が相場となっています。
金融機関 | 金利の相場 |
---|---|
都市銀行 | 1.0 ~ 1.8% |
地方銀行 | 1.0 ~ 1.8% |
信用金庫 | 1.2 ~ 1.5% |
農業協同組合(JA) | 0.8% ~ |
ノンバンク | 2.9 ~ 4.5% |
アパートローンは、都市銀行だけでなく、地方銀行や信用金庫、農業協同組合(JA)、ノンバンクなど、様々な金融機関で取り扱われています。
一般的に、都市銀行よりも地方銀行の方が、アパートローンの融資に積極的な傾向があります。
なお、アパートローンの金利と融資審査の厳しさには逆相関の関係があり、金利が低い金融機関ほど審査が厳しく、金利が高い金融機関ほど審査が緩やかになっています。
1-3.アパートローンの融資期間
アパートローンの融資期間は、金融機関の審査によって決定されますが、一般的には住宅ローンと同様に30~35年程度、もしくは建物の法定耐用年数に基づいた期間が設定されることが多いです。
融資を受ける側(オーナー様)から、融資期間の長さを希望することはできますが、必ずしも希望する期間でローンを借りられるとは限らないため注意しましょう。
なお、アパートローンの融資期間は、戸建て賃貸経営のキャッシュフローに大きな影響を与えます。キャッシュフローとは、戸建て賃貸経営で得た家賃収入から、諸経費や借入返済金、税金などを差し引いたあとに残る正味の収入を指します。
融資期間が短い場合、月々の返済額が高くなるためキャッシュフローが減少します。
一方、融資期間が長い場合、月々の返済額が低くなり、キャッシュフローが増えるため、経営を安定させることができます。融資期間を長くすると、総返済額が増えるというデメリットはありますが、キャッシュをストックしておくことは、様々なリスクへの備えとなります。
融資期間 | 総返済額 | 月々の返済額 |
---|---|---|
20年 | 約2,207万円 | 約91,978円 |
30年 | 約2,316万円 | 約64,327円 |
※総借入額2,000万円、金利1%の融資を受けた場合
2.戸建て賃貸経営のアパートローン申し込みまでの流れ

ここでは、戸建て賃貸経営のアパートローン申し込みまでの流れをご紹介します。
- 2-1.土地活用専門会社に戸建て賃貸経営のプランを相談する
- 2-2.収支シミュレーション表を作成してもらう
- 2-3. 金融機関にアパートローンを申し込む
2-1.土地活用専門会社に戸建て賃貸経営のプランを相談する
アパートローンを利用したいと思ったら、まずは土地活用専門会社に戸建て賃貸経営のプランを相談しましょう。
アパートローンでは、事業の安定性や将来性、賃貸物件の収益性などが重要な審査基準となるため、計画段階でしっかりとしたプランを立てる必要があります。
オーナー様ご自身でプランを考えることも可能ですが、戸建て賃貸経営の経験やノウハウを持つプロに相談することで、ご所有地に対して適正なプランを立てることができ、金融機関からの信頼性を高めることもできるため、融資においても有利に働きます。
また、パートナーとなる土地活用専門会社については、ご所有地の地域で賃貸住宅への入居仲介業務を行っている会社を選択することがポイントです。賃貸仲介を行っている土地活用専門会社であれば、地域に適した適正な間取りや家賃を設定し、入居者様を安定して確保することができます。
2-2.収支シミュレーション表を作成してもらう
土地活用専門会社に戸建て賃貸経営の相談をし、プランがまとまってきたら、次に、金融機関へ提出するための「収支シミュレーション表」を作成してもらいましょう。
収支シミュレーション表とは、戸建て賃貸経営によって得られる収益(家賃収入)と、運用に伴う費用(借入返済金、修繕費、税金など)をもとに、全体の収支バランスを取りまとめた表のことです。
金融機関は、「事業で安定した収益を見込めるか」、「返済計画が現実的であるか」の2点を特に厳しく評価します。
そのため、収支シミュレーション表を通じて、事業計画の実現可能性を明確に示す必要があるのです。
2-3.金融機関にアパートローンを申し込む
戸建て賃貸経営のプランと、収支シミュレーション表が完成したら、金融機関にアパートローンを申し込みます。
申し込みに必要な書類は金融機関によって異なるため、事前に問い合わせておくことをおすすめします。
3.戸建て賃貸経営でアパートローンの審査をクリアするコツ

アパートローンは、収益を得るために借りる事業用ローンであることから、住宅ローンと比較すると融資審査が厳しい傾向があります。
ここでは、アパートローンの審査をクリアする3つのコツをご紹介します。
- 3-1.賃貸経営の実績が豊富な土地活用専門会社をパートナーに選ぶ
- 3-2.十分な頭金を用意する
- 3-3.ご所有地で十分な賃貸需要が見込めることを示す
3-1.賃貸経営の実績が豊富な土地活用専門会社をパートナーに選ぶ
アパートローンの審査では、オーナー様に賃貸経営の実績があるかどうかが重要な判断要素になります。
これは、賃貸経営を初めて行う人よりも、過去に実績のある人の方が、赤字経営に陥るリスクが少ないと考えられるためです。
ただし、オーナー様に賃貸経営の実績がない場合でも、土地活用専門会社をパートナーに選ぶことで、事業の安定性を担保することができます。
特に大手の土地活用専門会社は、独自のノウハウや、赤字を回避するための具体的な方法を熟知しているため、返済遅延や滞納が発生するリスクが低いとされ、審査に通りやすくなります。
3-2.十分な頭金を用意する
アパートローンの審査に通りやすくするためには、頭金を十分に用意しておくことも重要です。
アパートローンでは、融資の条件として、総事業費の10%程度の頭金を求められる傾向があります。
以前は、戸建て賃貸経営にかかるすべての費用を融資で賄う「フルローン」も一般的でしたが、近年は不動産投資に対する融資姿勢が厳しくなっていることから、一定の頭金を求められるケースが増えています。
「十分な頭金を用意できる=資金を計画的に貯蓄できる能力を持っている」と認識されるため、金融機関からの信用評価が高まり、審査に通りやすくなるのです。
3-3.ご所有地で十分な賃貸需要が見込めることを示す
アパートローンでは、戸建て賃貸経営で得られる家賃収入が返済の原資となります。
そのため、事業が順調に進む見込みがなければ、金融機関は融資を行いません。
審査に通りやすくするためには、「ご所有地に十分な賃貸需要が見込めること」、「長期に安定した収益が得られること」を、金融機関に示す必要があります。
戸建て賃貸の入居ターゲットは「ファミリー世帯」になります。ご所有地が、スーパーやショッピングモールなどの商業施設をはじめ、小学校や幼稚園・保育園などの教育施設、病院、公共施設、公園などが豊富なエリアであれば、ファミリー世帯からのニーズが高いため、安定した戸建て賃貸経営を実現できるという根拠になります。
ただし、賃貸需要を分析するための市場調査やマーケティングを行うには専門的なノウハウが必要なため、土地活用の専門会社に依頼して、金融機関が信頼できる資料を作成してもらうようにしましょう。
4.戸建て賃貸経営にて、ローンを利用する際の注意点
アパートローンは、収益物件の建築や購入を目的としたローンであり、マイホームを購入するために利用する住宅ローンとは資金使途(お金の使い道)が異なります。
そのため、戸建て賃貸経営では住宅ローンを利用できません。
住宅ローンを利用して戸建て賃貸住宅を建築し、それを第三者に貸した場合、資金使途の契約違反となります。
違反が発覚した場合、金融機関からアパートローンへの借り換えを指示されることや、最悪の場合は住宅ローンの一括返済を求められることもあるため、自分が住むと偽って住宅ローンで戸建て賃貸経営の融資を組むことは、絶対にやってはいけません。
5.事業計画をしっかりと立てたうえでアパートローンを申し込もう

以上、戸建て賃貸経営で組めるアパートローンについて解説しました。
アパートローンとは、賃貸物件を建築・購入する際に利用できるローンのことです。
アパートローンは事業用のローンであることから、「住宅ローンよりも金利が高い」、「融資期間は30年程度、もしくは建物の法定耐用年数に基づいた期間が設定される」、「家賃収入を返済の原資に充てる」といった特徴があります。
また、事業用ローンであるため、住宅ローンのような自己使用を目的としたローンよりも融資条件が厳しくなります。
審査をクリアするコツとしては、「土地活用専門会社をパートナーに選ぶ」、「十分な頭金を用意する」、「ご所有地で十分な賃貸需要が見込めることを示す」などの方法が効果的です。
土地活用のパイオニアである東建コーポレーションは、賃貸経営の実績が豊富で、戸建て賃貸経営のご相談も承っております。
プランニングや収支シミュレーション表の作成も対応可能ですので、戸建て賃貸経営をお考えのオーナー様は、ぜひお気軽にお声かけください。