
県庁所在地である宇都宮市は、人口減少や高齢化といった課題を抱えながらも、新しい交通システムの導入やコンパクトシティ化など、未来を見据えたまちづくりを積極的に推進しています。
これらの取り組みは、安定した生活環境を求める人々を惹きつけ、土地活用の観点からも魅力的な都市へと変貌を遂げています。
今回は、そんな宇都宮市のまちづくりと、土地活用における可能性について深掘りしていきます。
目次
1.宇都宮市の特徴
宇都宮市は、歴史と文化が薫る都市です。二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ)を起源とし、家老屋敷など歴史的な建造物が残る一方で、近代化とともに発展を遂げてきました。
また、宇都宮市は餃子による町おこしに成功しており、外国人観光客も多く訪れる街となっています。
JR宇都宮駅は東北新幹線の停車駅として、北関東の交通の要衝であり、近年は宇都宮ライトレールが開通し、住民の生活利便性が向上したことから、まちづくりの新しいモデルとして全国から注目が集まっています。

▲宇都宮ライトレール
宇都宮ライトレールは、JR宇都宮駅から芳賀町(はがまち)を結ぶ路面電車。自動車が入ることができない専用レールを走るため運行時間が正確で、バリアフリー設計のため小さなお子様を乗せたベビーカーや、お年寄りの方、車椅子の方でも楽に乗降できます。
また、電気で駆動するため、CO2(二酸化炭素)の排出がなく、環境にも優しい交通システムです。
宇都宮市の人口は、2024年11月1日現在512,153人となっていますが、芳賀・宇都宮LRT公式ホームページでは、「宇都宮市全体での人口は、平成29年をピークに令和5年までに約6,800人減少する一方で、ライトレール沿線のエリアでは、平成24年から令和5年までに約4,900人増加し、令和5年には約6.4万人となっています。」と紹介されています。
このようにライトレールの沿線地域は、交通利便性が良く、人気が高いことから、今後も人口増加が期待される、宇都宮市の中でも特に土地活用に適したエリアと言えるでしょう。
また、JR宇都宮駅西側のライトライン(※)延線計画についても、まちづくりと共に検討が進められており、2030年代前半の開業を目指しています。
※ライトラインとはLRTで運行される車両「HU300形」の愛称。また、LRT(次世代型路面電車システム)とは、「Light Rail Transit(ライト・レール・トランジット)」の略称で、各種交通との連携や低床式車両(LRV)の活用、軌道・停留場の改良による乗降の容易性などの面で優れた特徴がある次世代の交通システムのこと。
2.宇都宮市の土地活用の可能性
宇都宮市でどのような土地活用をできるかは、宇都宮市の都市計画状況を把握すると見えてきます。
宇都宮市は、市内の全域が都市計画区域に指定されています。
都市計画区域とは、都市計画法によって都市を一体的に整備、開発、保全する必要がある区域のことで、指定状況は下表のようになっています。
区 域 | 面 積(ha) | 割合(%) |
---|---|---|
都市計画区域 | 41,685 | 100% |
市街化区域 | 9,341 | 22% |
市街化調整区域 | 32,344 | 78% |
出典:国土交通省「令和4年都市計画現況調査 全国計・都道府県別・市区町村別」

市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域、及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことです。
市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域のことであり、いわゆる市街地に隣接した都市農村のことを指します。
このうち、土地活用に適しているのは市街化区域です。また、市街化区域で土地活用を考える上で重要な要素のひとつに、用途地域があります。
用途地域とは、地域ごとに建築できる建物の用途を定めたルールのことで、「住居系」「商業系」「工業系」の3つの大分類があり、そこからさらに13種類に細かく分けられます。
土地活用を行う際、用途地域によっては、希望する活用方法が実現できない場合があります。そのため、所有している土地の用途地域をあらかじめ確認しておくことが重要です。
宇都宮市内で指定されている用途地域を面積が広い順に示すと、下表のようになります。
用途地域 | 面積(ha) | 割 合 |
---|---|---|
❶ 第1種住居地域 | 3,051.9 | 32.67% |
❷ 第1種低層住居専用地域 | 1,294.2 | 13.86% |
❸ 第2種中高層住居専用地域 | 876.5 | 9.38% |
❹ 第1種中高層住居専用地域 | 841.3 | 9.01% |
❺ 工業専用地域 | 749.6 | 8.02% |
❻ 準工業地域 | 690.2 | 7.39% |
❼ 第2種住居地域 | 662.1 | 7.09% |
❽ 工業地域 | 436 | 4.67% |
❾ 商業地域 | 284.5 | 3.05% |
❿ 準住居地域 | 261.9 | 2.80% |
⓫ 近隣商業地域 | 192.8 | 2.06% |
⓬ 第2種低層住居専用地域 | 0 | 0.00% |
⓭ 田園住居地域 | 0 | 0.00% |
合 計 | 9,341.00 | 100.0% |
出典:国土交通省「令和4年都市計画現況調査 全国計・都道府県別・市区町村別」
宇都宮市は、第1種住居地域と呼ばれる用途地域が最も広く指定されている点が特徴です。
第1種住居地域は、基本的に住宅を建てることを目的とした用途地域ですが、床面積が3,000㎡までの貸店舗も建てられます。そのため、第1種住居地域内の土地においては、ニーズがあれば郊外型の貸店舗も選択できる可能性があります。
また、2番目に広く指定されている用途地域は、第1種低層住居専用地域です。
第1種低層住居専用地域とは、主に低層の住宅が建てられる地域となりますので、この地域では、低層のアパート経営が土地活用の主な選択肢です。
宇都宮市の中心市街地は、JR宇都宮駅周辺であり、指定されている用途地域は、店舗等の建築も可能な商業地域です。
中心市街地の周辺から東西に形成されている市街地には、主に第1種住居地域が指定されており、その外周部には第1種低層住居専用地域が広がっています。
JR宇都宮駅から離れるほど住居系の用途地域が広く指定されている点が特徴です。
3.宇都宮市でおすすめの土地活用5選
ここでは、宇都宮市でおすすめの土地活用について解説します。
- 3-1.アパート経営
- 3-2.単身者向け賃貸マンション経営
- 3-3.サービス付き高齢者向け住宅経営
- 3-4.ビジネスホテル経営
- 3-5.郊外型商業施設経営
3-1.アパート経営
宇都宮市では、アパート経営による土地活用がおすすめです。
アパートは賃貸需要が広く存在することから、宇都宮市の都市部や郊外を問わず、様々なエリアで需要が見込めるでしょう。
また、宇都宮市では、第1種住居地域と呼ばれる用途地域が最も広く指定され、次いで第1種低層住居専用地域が広く指定されています。
いずれの地域も、主に住宅が建てられる地域となりますので、これらの地域では、建築法規の観点からもアパート経営が適性の高い土地活用と言えます。
3-2.単身者向け賃貸マンション経営
宇都宮市は県庁所在地であるため、市内には国や県の施設および県内を拠点とする企業の本社等が存在し、働く場所も多くあります。
そのため、中心市街地であれば、単身者向け賃貸マンション経営も有力な選択肢のひとつです。
JR宇都宮駅の周辺は用途地域が商業地域となっており、高い容積率が指定されています。
容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積割合のことです。
容積率の高い地域では、賃貸マンションのような中高層の建築物を建てることができます。
3-3.サービス付き高齢者向け住宅経営
サービス付き高齢者向け住宅とは、介護サービスのうち、安否確認と生活相談サービスのみを提供する、比較的に元気な高齢者向け住宅のことです。
宇都宮市のような人口の多い都市は、今後、高齢者の数が増えていくことが予想されています。
今後、高齢者が増加していくことを踏まえると、サービス付き高齢者向け住宅は将来性の高い施設です。

3-4.ビジネスホテル経営
新幹線の停車駅であるJR宇都宮駅の周辺には、多くの出張ニーズが存在します。
また、餃子の町おこしで成功している宇都宮市には、観光ニーズもあるため、中心市街地であればビジネスホテル経営も選択肢のひとつに入ってきます。
なお、ビジネスホテル経営では、200室以上確保できることが収益性を確保できる目安とされているため、一定以上の広い土地が求められることが一般的です。
3-5.郊外型商業施設経営
宇都宮市の用途地域は第1種住居地域が最も広く指定されています。
第1種住居地域では、床面積が3,000㎡までの店舗も建てられるため、幹線道路沿いの広い土地なら郊外型の商業施設経営を選択できる可能性があります。
例えばコンビニやドラッグストア、ファミリーレストラン等の一棟貸しが、土地活用で行う郊外型商業施設経営です。
商業施設経営は賃料単価が高いことから、収益性の高い土地活用を行うことができます。
4.宇都宮市で土地活用を行う3つのポイント
この章では宇都宮市で土地活用を行う3つのポイントについて解説します。
- 4-1.市場調査により最適な土地活用方法を選定する
- 4-2.将来性を見極める
- 4-3.賃貸管理会社を擁する土地活用専門会社に依頼する
4-1.市場調査により最適な土地活用方法を選定する
土地活用の賃貸需要を把握するためには、市場調査が不可欠です。
ひとくちに宇都宮市といっても、面積は広く、市内には様々な賃貸需要を有する場所が存在します。
その土地に見合った土地活用は、該当する建築法規や面積、形状、賃貸需要等の条件によって決まります。
土地活用で長期に安定した収益を得るためには、市場調査によりその土地に最適な土地活用方法や間取りを選定していくことが重要です。
4-2.将来性を見極める
土地活用の用途は、将来性を見極めて決めることも重要です。
日本全体としては人口が減少していますが、その中でも共働き世帯や高齢者、外国人等の入居者ターゲットは増えています。
入居者ターゲットは今後20~30年の先を見据えて長期的な視点で捉え、建物の間取りやコンセプトを決めていくことが望ましいでしょう。
4-3.賃貸管理会社を擁する土地活用専門会社に相談する
土地活用の相談は、賃貸管理会社を擁する土地活用専門会社に相談することがポイントです。
賃貸管理会社の人たちは、実際の賃貸市場の中で働いているため、市場動向を肌で感じています。そのため、現場担当者の意見を踏まえて土地活用を決定することで、失敗する可能性は低くなるでしょう。
大手の土地活用専門会社は関連会社に賃貸管理会社を擁していますので、賃貸管理会社の意見を反映した計画を立てることができます。
宇都宮市で土地活用をお考えの方へ
以上、栃木県宇都宮市でおすすめの土地活用について解説してきました。
県庁所在地である宇都宮市は土地活用に適した街で、中でもライトレールの沿線地域は、利便性が高く、今後も人口増加が期待される土地活用に適したエリアです。
宇都宮市は外周部に住居系の用途地域が広く指定されていることから、外周部は住居系の土地活用が選択しやすいと言えます。
宇都宮市でおすすめの土地活用として「アパート経営」や「単身者向け賃貸マンション経営」等をご紹介しました。
宇都宮市で土地活用を検討する際、参考にしていただければと思います。
東建コーポレーションでは、地域に密着した営業活動により、賃貸マンション・アパートの供給を通じて、土地所有者様のお悩み、問題解決のお手伝いをさせていただいております。宇都宮市で土地活用をご検討の方は、東建コーポレーション宇都宮支店まで、お気軽にご相談ください。