公開日:2024年4月17日

不動産の売却時に生じる譲渡税の解説 - ホームメイト

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不動産の売却時に生じる譲渡税の解説

土地活用を行う際に、不動産の売却を絡めるケースも少なくはありません。その際に、譲渡所得が生じると譲渡税が課税されます。
特に先祖から相続した土地等は、取得費が不明なことから譲渡税が高くなってしまうことも多いです。
不動産を売るときは、売却時の税金の仕組みを知っておくことが望ましいでしょう。
この記事では「譲渡税」について解説します。

譲渡所得とは

個人の所得は収入によって給与所得や譲渡所得、不動産所得、事業所得、雑所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得の10種類に分類されます。
このうち、不動産の売却時に得られる所得は譲渡所得となります。
譲渡所得とは売却代金のことではなく、売却益(利益)のことを指し、具体的には以下のような計算式で求めることができます。

  • 譲渡所得
  • 譲渡価額
  • ( 取得費
  • 譲渡費用 )

譲渡価額は主に土地や建物の売却代金を指し、取得費は原則として土地は購入額、建物は購入額から減価償却費を控除した価額です。
譲渡費用は、売却に直接要した費用のことで、仲介手数料や印紙税、測量費等が該当します。

不動産の売却では譲渡所得が生じると税金が発生するというルールですので、譲渡所得の計算の結果、譲渡所得がマイナス(譲渡損失と言う)となれば譲渡所得が発生しなかったということになり、税金は生じません。
そのため、不動産の売却では必ずしも常に税金が生じるわけではないという点が大きな特徴です。
譲渡所得がプラスの場合、所得税及び、住民税、復興特別所得税が生じます。譲渡税もしくは譲渡所得税という特別な名称の税金は存在せず、普段から払っている所得税や住民税が増えるというイメージになります。

譲渡所得と税率

譲渡所得に対する税率は、不動産の所有期間によって決まります。
所有期間は売却する年の1月1日時点で判断がなされる点が特徴で、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」と呼ばれます。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率は下表の通りです。

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所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。
税率は、所有期間が短い短期譲渡所得の方が高くなっています。
これは投機的取引を防止することが目的で、バブル時代に流行った土地転がしのように短期の売買で差益を得る投機的取引を抑制するために短期譲渡所得の税率は高くなっています。
また、給与所得等の所得税は、累進課税方式で所得が高くなるほど税率も高くなる仕組みですが、譲渡所得に関しては所得が大きくなっても税率が上がるわけではなく、税率はあくまでも所有期間で決まるようになっています。
さらに、給与所得等は例えば不動産所得等の他の所得と合算して所得が計算され、その所得に応じて税率が決まる総合課税方式が採用されていますが、譲渡所得は他の所得と合算されるわけではなく譲渡所得のみで単独で税金が計算される点が特徴です。
ちなみに、譲渡所得のように他の所得と分けて計算される制度を、分離課税方式と呼びます。

≪ 課税方式と概要 ≫

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課税方式 概 要
累進課税 所得税など所得が高くなるほど税率も高くなる仕組みです。
総合課税 総合課税は、対象となる所得をすべて合算して所得税を計算する仕組みです。
分離課税 総合課税とは別に、その所得のみに独自の計算式や税率を適用して所得税や住民税を計算する仕組みです。
≪ 所得ごとの課税方法 ≫

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所得の種類 課税方式
利子所得 総合課税、または源泉分離課税(※1)
配当所得 総合課税、または申告分離課税(※2)
不動産所得 総合課税
事業所得 総合課税
給与所得 総合課税
退職所得 分離課税
山林所得 分離課税
譲渡所得 分離課税(株式・土地建物)、または総合課税(左記以外)
一時所得 総合課税
雑所得 分離課税(外国為替証拠金取引等)、または、総合課税

※1:預貯金の利子など所得を支払う者が納税者に代わって税金を徴収し、納税する課税方式を言います。

※2:総合課税のように他の所得と合算せず、他の所得と分離して所得税を計算し、申告します。

譲渡所得の計算方法

土地建物売却で発生する税金

この章では、譲渡所得の計算方法について解説します。

譲渡価額

譲渡価額とは、資産の譲渡によってその年に収入にすべきことが確定した金額のことです。
不動産の売却では、固定資産税の精算を行うことも多いため、売買代金に固定資産税の精算金を加えた額が譲渡価額になることが一般的となっています。

  • 譲渡価額
  • 売買代金
  • 固定資産税精算金

固定資産税精算金とは、不動産売買の際にその年にかかる不動産の固定資産税や都市計画税を、所有日数に応じて買主が売主に支払う金銭を指します。
固定資産税の納税義務者は1月1日時点の所有者であるため、1年の間に売買がなされても納税義務者は1月1日時点に所有していた人のままです。
税務当局は売買により所有者が変わっても固定資産税の納税義務者は1月1日時点の所有者と認識しているため、売主が買主から受領している金銭は単なる収入という位置づけになります。
固定資産税の精算は売主と買主の任意で行っているだけの行為であり、税務当局からすると収入と解される金銭であることから、譲渡価額に含むことになるのです。

取得費

取得費とは、原則として土地は購入額、建物は購入額から減価償却費を控除した価額でした。
ただし、以下の費用が分かっている場合には、取得費に含めることができます。

《 取得費に加えることができるもの 》
  • ・取得時の仲介手数料
  • ・取得時の売買契約書に貼付けした印紙代
  • ・取得時の登録免許税
  • ・取得時に司法書士へ支払った手数料
  • ・取得時の不動産取得税
  • ・取得に際して支払った立退料・移転料
  • ・取得のための測量費
  • ・取得のための建物の取り壊し費用
  • ・購入時の整地、埋立て、地盛りの費用、下水道、擁壁の設置費用
  • ・相続の際の不動産の登記費用(売却のために行った名義変更費用)

建物は購入額から減価償却費を控除した価額で、アパート経営等で毎年青色申告を行っている人は、確定申告書に記載された年末未償却残高が取得費に相当します。
また、相続や贈与で親から資産を受け継いでいる場合には、前所有者の取得費を引き継ぎますが、取得費が判明しない場合には、概算取得費(※)を用います。
一般的には概算取得費を利用すると譲渡所得が大きく計算されてしまうことから、税金が高くなってしまう傾向があります。

※概算取得費とは「譲渡価額の5%」。

譲渡費用

譲渡費用は、売却に直接要した費用のことで、譲渡費用に相当するものは、仲介手数料や印紙税、測量費等が挙げられます。
注意点としては、以下のような支出は譲渡費用としては認められないという点です。

《 譲渡費用として認められない支出 》
  • ・抵当権抹消費用
  • ・遺産分割のために要した支出
  • ・移転先家屋の購入費、修繕費、移転費用等
  • ・譲渡資産の維持管理費等
  • ・引越代

譲渡費用に該当するかどうかは、最終的には税務署に確認することが適切となります。

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以上、譲渡税について解説してきました。
譲渡所得とは、売却時に生じる利益のことで、不動産の売却では譲渡所得がプラスになったときに税金が生じます。譲渡所得に乗じる税率は、短期譲渡所得と長期譲渡所得の2種類がありました。
相続や贈与で親から資産を受け継いでいる場合には、前所有者の取得費を引き継ぎますが、取得費が不明な場合には、概算取得費を用いるため、税金が高くなってしまうことが少なくありません。
不動産を売却する際の参考にしていただければと思います。

税金は専門的な知識が必要であることから、まずは税理士等の良きパートナーを得ることが適切です。
良き相談相手を得た上で、土地活用を行っていただければと思います。
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